世界の山旅を手がけて49年 アルパインツアー

　ヨーロッパアルプスでも人気の高い、オーストリアのチロル地方とイタリアのドロミテ山群をめぐる山旅へ、１１名のお客様とご一緒してきました。旅の玄関口はスイス、チューリッヒ空港です。東西に広がるオーストリアの西側に位置するチロルへは、首都ウィーンからでなくスイスからの方がアクセスしやすいのです。穏やかな牧草地の風景が美しいチロルと、断崖絶壁の岩峰群が間近で見れるドロミテと、対極の景観を一度に楽しめる、多彩なハイキングコースが点在しています。かつてオーストリア領であったドロミテ地方は、今日でも地元の人々には南チロルと呼ばれており、同じ文化圏であった事が色濃く残るエリアでもあります。国境を越え、２つの国の魅力をたっぷりと堪能してきました。

迫力あるドロミテの岩峰群

　チロルで訪れたのは“ヨーロッパで一番美しい村”と呼ばれるレッヒ。谷あいの小さな村は、冬には多くのスキーリゾート客でにぎわいます。夏場はまさに“緑豊かな”山々のハイキングを楽しむことができます。意気揚々とハイキングに出発した私たちでしたが、初日、激しい雷雨に見舞われました。雨宿りをすること１５分、今度は真っ青な空が顔を出し、緑が輝く牧草地帯を嬉々として歩きました。お昼はマーモットの鳴き声を聞きながらのピクニックランチ。穏やかな景色の中ほおばるサンドイッチの美味しかったこと！宿泊したホテルは家庭的で木製の可愛いらしい装飾が施され、オーナー夫妻が温かく出迎えてくれました。レッヒを南下し、エッツタール山群の最奥であるオーバーグルグルでは、２つの氷河を間近で見ることができました。チロル地方には名高い山は少ないですが、まだまだ知られていない魅力を、是非皆さまに知っていただきたいと思いました。

ヨーロッパで一番美しい村”レッヒ

　国境を越えイタリア側に入ると景色は一変し、乱立する岩峰群が現れます。まずは登山家、Ｒ・メスナーの故郷でもあるフネス谷へ。ガイスラー山群の一望を楽しんだあとは、どんどんとドロミテの核心へと迫っていきます。怪峰サッソルンゴ半周ハイキングでは、巨大岩壁の直下を歩きます。実際に岩肌に触れながらのハイキングは貴重な経験となりました。
　山小屋で食べるパスタは、さすがイタリア！皆さまに美味しいパスタとワインをお楽しみいただきました。岩峰群の合間を縫うようにして走るドロミテ街道のドライブでは、迫力の景観に車内から歓声が上がりました。旅のハイライトでもあるドライチンネンでは、またも奇跡的なタイミングに恵まれました。出発時、下山時と悪天候ではありましたが、ドライチンネンに迫った峠では見事な晴れ間。堂々たる３本の石柱を見ることができました。山の神様に祝福してもらったような、嬉しい瞬間となりました。

青空に恵まれたドライチンネン

　行ってみないことには分からない！これこそが旅の醍醐味だと思います。雨の中出発しても晴れ間に恵まれるように、歩いてみて初めて感じる岩壁の巨大さに、そして訪れた地の人々の優しさと、沢山の「旅の出逢い」を実感してきました。５日間同行したドライバーとは英語での意思疎通が難しい中でしたが、最後の夜には皆さまと夕食を共にし、大盛り上がりとなりました。国際交流ね！とお話しする皆さまの笑顔がとても印象的でした。ガイドや地元の人々との出会いが、山旅の思い出をより一層濃くしてくれた気がします。素晴らしい景色と、美味しい郷土料理、温かい人々、チロルとドロミテにはそんな魅力が沢山詰まっていました。行ってみないと分からない、皆さまにおすすめしたい素敵なエリアです。是非、来夏にはチロルドロミテへお出かけください。素晴らしい出会いが待っているはずです！

最後のディナーはドライバーも一緒に