Alpine Square / アルパイン広場
5月26日出発「スペイン最高峰テイデ山(3,718m)登頂と魅惑のカナリア諸島 9日間」
常春の楽園カナリア諸島
「カナリア諸島の場所を以前からご存知だった方はいらっしゃいますか?」。現地空港到着後、バス車内で皆さんに質問したところ、ほとんどの方が「知らなかった」とのことでした。カナリア諸島はモロッコの西、大西洋上に浮かぶ島々で7つの島から成ります。地理的要因から1年中暖かく、常春のリゾート地として欧米の人々に人気のリゾート地ですが、私たち日本人にとっては遠く離れているために「聞いたことはあるが、場所や国は分からない」という方が多いのが現状です。ツアーの最後に感想を伺いましたが「まるで天国のような場所、物価が安い、ここに住みたい、気候がちょうどよくてうらやましい」等々、カナリア諸島は大好評でした。私自身も昨年、カナリア諸島に魅せられ今回2年連続での訪問となりましたが、自然景観の奥深さを再認識し、カナリア諸島を多くの日本人にすすめ、広告棟のような役割を担っていきたいと決意する旅となりました。
テイデ山をバックに(ガルシアの岩にて)
ラ・ゴメラ島日帰りハイキング
このコースは山小屋1泊以外はテネリフェ島に連泊の滞在型です。そのため、隣のゴメラ島へは日帰りで訪れました。島の南端よりフェリーに乗船しましたが、船内でたまたまカナリア相撲のチャンピョンに出会い、皆さんはいっせいに腕にしがみついたり、大はしゃぎでした。「有名人でも友達のように接してくれるのがカナリアの良いところです」とガイドが話していた通り、人と人との距離感がとても近いと感じた一幕でした。ゴメラ島到着後はバスでぐんぐん標高を上げ、ゴメラ島最高峰のハイキングスタート地点へ。歩き始めると晴れ間が広がり、海に浮かぶテイデ山も姿を現しました。その景観は礼文島から眺める利尻岳に似ています。“明日はいよいよテイデ山にチャレンジするのね”と皆さん気持ちが高まってくるのが印象的でした。昼食はゴメラ島名物のウサギを賞味し、午後は港町サンセバスチャン・デラ・ゴメラを散策です。ここは1492年にコロンブスが新大陸を発見する航海の際、最初の休憩地となった町で今でもそのゆかりが残っています。
ゴメラ島から眺めるテイデ山
スペイン最高峰テイデ山(3,718m)
テイデ山は諸島最大の島テネリフェ島の中心部に位置し、端正な成層火山です。私たちは1泊2日の山小屋泊で山頂を目指しました。1日目は森林限界を越えた標高2,350mの登山口から約900m登り、アルタビスタ小屋に宿泊です。現地登山ガイドが「テネリフェ島は貿易風の影響で標高1500m年間340日晴れるんだよ」と話していましたが、当日も快晴で、紺碧の青空の中での山行となりました。後半は傾斜もきつくなり、富士山のような登山道をつづら折りに登ります。山小屋は自炊小屋のため、日本から持ち込んだ簡単な食材で夕食をすませ、未明の出発に備え暖かいベッドに潜り込みました。2日目は標高差約500mを登ります。出発時の外気温は8℃前後で、夏の北アルプス稜線の同時間帯よりも少し暖かい位でした。山頂手前でご来光となり、無事全員に登頂しました。島の独立峰ならではの海に囲まれた大展望を堪能し、持参したスペインの国旗が風にたなびく姿が達成感を満たしてくれました。下山は9合目付近からかかるロープウェイで一気に下界へ下ることができます。
テイデ山頂にてスペイン国旗を掲げる
固有種エキウム・ウィルドプレッティ
登山以外のもう一つのメインイベントがエキウム・ウィルドプレッティというムラサキ科の花です。その美しさから「宝石の塔」とも呼ばれており、深紅色で最大3m程度にもなります。シーズンは5月下旬~6月中旬頃で、テイデ山の麓に群生します。登山初日にバス車内からその姿を見た途端、全員が総立ちとなり今まで見たことのない独特な形状に大興奮でした。早速下車して間近から観察しましたが、直径約20㎝、高さ約2mほどの茎に花がとうもろこしのようにびっしり咲いており圧倒的な存在感です。「わたしもうこれで帰国しても満足だわ!」との声があがるほどで、その後1時間ほど周辺を散策しました。また、旅の後半にはテネリフェ島北部のアナガ地区のハイキングにでかけましたが、ここでは白バージョンを見つけました。エキウム・シンプレッティという属で、断崖絶壁周辺にへばりつくように咲いているものもあり、その景色はまさに“世界でここだけにしかない景観”でした。
固有種エキウム・ウィルドプレッティ