世界の山旅を手がけて49年 アルパインツアー

花との出会いをキーワドに、世界中の花の山旅へご案内する新しい倶楽部「花旅ハイキング倶楽部」がこの４月にスタートしました。このたび「花旅」の第一弾の企画として、地中海の鮮やかな陽光と爽やかな空気に包まれた南フランスのハイキングをご案内しました。南フランスのリゾート、マルセイユとニースを起点に、ある日は石灰岩の白く輝く山へ、そしてある日は地中海のコバルトブルーの海岸沿いのトレイルへ、そしてまた別の日には緑豊かなプロヴァンスの農村へと赴き、南フランスの豊かな自然や足元を彩る花々との出会いを楽しみました。

サント・ビクトワールに咲くジューンベリー

フランス全土には、優れた景観や歴史的、芸術的な遺産を持つ１００を超す村々が「フランスの最も美しい村」として認定され、旅行者を魅了するスポットのひとつになっています。今回のコースでは、プロヴァンスとコートダジュールで計２カ所の「美しい村」を訪れました。リュベロン地方の田園地帯を見下ろす小高い丘の上の村ルシヨンは、オレンジ色の屋根瓦とサーモンピンクやカスタード色の壁が美しい民家が身を寄せ合うように集まり、まるで絵画に描かれた村が目の前に現れたかのような佇まいです。午前、村に到着した私たちは、広場で開かれていたマルシェ（朝市）で地元の野菜やフルーツ、チーズ、サラミ、コンフィチュールなどを買い込み、ルシヨンの田園を見下ろしながらみんなでサンドウィッチを作りピクニック・ランチを楽しみました。どれも素朴な食材ばかりでしたがプロヴァンスの恵みがたっぷり詰まり、皆さまにも大好評でした。

ルシヨン村と満開のアカシヤ

港町マルセイユから北部に移動すると、プラタナスの並木と噴水が美しいエクサンプロヴァンスの街が現れます。かつて南仏には印象派の名だたる画家達が鮮やかな景色や創作活動に適した気候を求め、こぞって訪れました。そして後世に名を残した画家のなかには、エクザンプロヴァンスで生まれ、プロヴァンスを舞台に多くの作品を残した画家もいます。それがポール・ゼザンヌです。ゼザンヌの作品の中には、鋭角の頂を持った白亜の山が頻繁に登場します。この山こそ今回私たちが登った山、サント・ヴィクトワールです。登山口からほどなく登ると、灌木帯が広がり、石灰岩でできた白く輝く山頂が目の前に現れます。山頂まで続くのびやか尾根上には、ローズマリーやタイムが自生し、身体やザックがそれらに触れると、どこからともなく爽やかな香りがトレイルに漂います。また、人の背丈ほどのジューンベリーの群落が一斉に開花し、繊細な花が登山の疲れを癒してくれました。山頂からは、プロヴァンスの田園地帯や遠く、アルプスが一望でき、セザンヌが愛し、生涯にわたって描き続けた山の魅力に触れることができた一日でした。

白亜の山サント・ビクトワール

マルセイユとニースの間には、世界的に有名な映画祭の開催地、カンヌがあります。このカンヌの裏手には、コルニッシュ・ド・レステレル（黄金海岸）と言われる鮮やかな朱色をした海岸線と岩山が広がります。レステレスの最大の特徴は、何といってもその赤い岩が作り出す迫力ある景観ですが、この時期はトレイル沿いにフレンチラベンダーが咲き乱れ、ひととき花の道になります。地中海のそよ風に揺れる足元のラベンダーに心癒されながら、爽やかなハイキングを楽しむことができました。
今回の花旅では、南フランスの豊かな自然を舞台に、地中海の春を彩る花々に出会うことができました。「花や自然とのふれあいを大切にしたい。」、「花好きな方たちと楽しくあるきたい。」という皆さまはぜひ、今後の「花旅」にご注目ください！

コバルトブルーが美しいカランク