Alpine Square / アルパイン広場
【今日の花】 イブキトラノオ
イブキトラノオ
日本でよく知られるこの花は、ヨーロッパ・アルプスでもその近縁種を夏季に楽しむことが出来ます。高さは約30~80cmで、しばしば山麓の牧草地で群生している姿に出会います。爽やかな高原の風にのって一斉に揺らめく姿は、私の好きな心癒されるアルプスの風景です。ちなみに、和名の「イブキ」とは、日本百名山・滋賀県最高峰の伊吹山(1,377m)に由来すると言われます。ご存じのように伊吹山は眼下に琵琶湖や比良、比叡の山々、遠くには日本アルプスや伊勢湾まで望むことができる素敵な山です。古くは『古事記』や『日本書記』にその名が記され、ヤマトタケルノミコトの伝説にも登場するロマン溢れる山でもあります。その伊吹山で多くみられたため、「イブキ」の名がついたそうです。一説によると、戦国時代、織田信長が権勢をふるっていた頃に南蛮の宣教師が日本へ運んできた種が在来化したそうで、興味深い歴史ですね。「トラノオ」とは、草原に花穂がゆらゆらしている様子を、虎の尾に見立てたものです。
逆光にはえるトラノオ