Alpine Square / アルパイン広場
【今日の花】 ナルシス(スイス)
可憐なナルシス
スイスのレマン湖地方に咲く、ナルシスの花をご紹介いたします。毎年4月末~6月上旬にかけて、モントルーやヴェヴェイの裏山の牧草地に咲く野生の花です。毎年、雪解けや天候により咲く時期が異なり、わずかな期間にしか見られない希少性があります。満開の時期には、牧草地一面がナルシスの花で真っ白く見えるので、「5月の雪」とも呼ばれています。日本の水仙と同属となりますが、別の種類で、世界中に約30種類ある中の2種類がレマン湖地方に生息しています。19世紀まではレマン湖地方の観光名物として有名で、スイス各地から「ナルシス積み」を目当てに、たくさんの観光客が訪れていました。観光地化による乱獲や農業の機械化などの要因で急速に数が減り、ナルシスは後に絶滅の危機にさらされることになります。その後、1,999年に地元で保護団体が発足し、ナルシスを守るための規定づくりや整備が行われました。そのおかげで、現在も牧草地一面を白く埋め尽くす、美しいナルシスの景色を楽しむハイキングコースを歩くことができます。
レマン湖畔に咲くナルシス
ハイキングガイド
ナルシスのハイキングコースを歩く時に一番重要なポイントはコース選びです。ナルシスは標高によって咲く時期が異なるため、ナルシス開花予報を頼りに、一番咲いているポイントの多いハイキングコースを歩きます。昨年の5月は開花が遅かったので、比較的開花の早いエリアで、モントルーからゴールデンパスライン(列車)で少し標高を上げたレ・ザヴォン周辺のコースを歩いてきました。駅からは、目の前にあるケーブルカーでソンルー(1,157m)展望台にアクセスして、レマン湖の美しい景色を楽しんだ後は、ゆったり歩く下りがメインの歩行となります。ケーブルカーの途中からは、ちらちらと可愛らしいナルシスが見えはじめて気分も上がってきます。気持ちの良い林間コースを歩いてしばらくすると、いくつものナルシスの群生が現れます!途中、民家を経由して、ナルシスに囲まれて暮らす人々の様子を見ることができます。ハイキングコース終盤には、フランスとの国境に位置するレマン湖の景色とナルシスのコラボレーションを楽しめます。ナルシスやクロッカスなど、春の花の群生があちこちで見られる、春のスイスもおすすめです。
ナルシスが見られるのは春のスイスならでは