Alpine Square / アルパイン広場
【今日の花】 タヒナステ(カナリア諸島)
高さにびっくり、まさに「宝石の塔」
本日、紹介する花は、タヒナステ・ロホ(ラテン名:エキウム・ウィルドプレッティ)です。開花時に、小さな可愛らしい花がまるで宝石のように連なることから、「宝石の塔(Tower of Jewels)」と称されます。シソ目ムラサキ科のこの植物は、スペイン領のアフリカ大陸の南西沖に浮かぶカナリア諸島のテネリフェ島が原産となり、とくにスペイン最高峰でもあるテイデ山麓でよく見かけることができます。花の季節は5月から6月にかけてで、2年、3年の時間をかけて育った後に開花した後は、たくさんの種を付けた後に枯れてしまうとのことです。1年目は地上の見た目はほとんど大きくならず、地中に深く根を伸ばして力を蓄え、2年目、3年目で大きく背を伸ばしてからその可憐な花を咲かせます。一番大きく育った場合は、3mもの高さになるとのことですが、多くの場合は1.5mほどの、ちょうど人の背丈ほどになります。
大きさにビックリ!
タヒナステの咲くスペインの最高峰テイデ山
タヒナステ・ロホが花の時期を迎える5月から6月は、スペイン最高峰のテイデ山(3,718m)の登山もまさにこの季節が、登山のベストシーズンとなります。この季節の山麓は普段は、荒涼として月面のような斜面にタヒナステ・ロホやレタマ・デル・テイデ(カナリア諸島固有の白いエニシダ)やアブラナ科の花々、そして岩場の影に咲くテイデ山の固有種テイデ・スミレなど可愛らしい花も見られます。テイデ山には9合目にあたる3,550mまでロープウェイがかかりますが、ロープウェイ山頂駅からの登山には自然保護と安全上の理由から、人数制限と事前の登山申請が設けられており、運用が複雑なことから、標高3,260mに建つアルタビスタ小屋に1泊して登るのが一般的です。貿易風の影響でテイデ山の標高2,000m以上は年間300日の晴天率を誇るといわれ、大きな大陸から離れていることもあり空気が澄んでいることから、この山小屋からの星空の美しさは大きな登山の魅力です。
近づくと小さな可愛らしい花