世界の山旅を手がけて49年 アルパインツアー

11名のお客様とアイルランドを訪れました。アイルランドは日本の国土面積の1.2倍、約470万人が暮らし、国土に広がる緑の大地が印象的な島国です。今回のツアーではぐるり反時計まわりにぐるりと島を一周しました。初日、高速道路を北上すると国境などは何もなく唯一車線の色が白色から黄色に変わるだけで、いつの間にかアイルランドから北アイルランド（イギリス）に入国していました。北アイルランドでは海岸線の断崖絶壁沿いに歩き、柱状節理が広がる世界遺産ジャイアンツコーズウェイへ。断崖絶壁上から延々と広がる大西洋、吹上げる風、どんよりとした空、陸側に目を移すと青々とした草原で草を食む牛がのんびりしています。「これがアイルランドよね！」と参加者の皆さんも大喜びです。午後は世界最初のウィスキー工場「ブッシュミルズ」を訪れました。アイリッシュウィスキーは麦芽にピート（泥炭）を用いないことや、3回蒸留するなど、スコッチウィスキーとの違いを学び、シングルモルトの試飲も体験しました。

ジャイアンツコーズウェイにて

アイルランド西岸から船に乗り、アラン諸島へ。今回は最大面積を誇るイニシュモア島を訪れました。この島は、全体が石灰岩で覆われ、かつて人々は僅かな土壌で畑を作って作物を育てていました。現在では観光がメインとなり、島北部にあるドン・エンガスという断崖を訪れるため、世界中から観光客が訪れます。断崖は高さ100m、私たちは展望を楽しんだ後、断崖に沿ってハイキングを堪能しました。翌日は本島に戻り、モハーの断崖へ。この断崖は高さ200mにもなります。一般観光客が崖に足をぶらぶらさせて座っていましたが、その場所は岩が突き出しているような形状のため、見る側の私たちの足がすくみました。こんなことは真似してはなりませんね。バスの車内では現地ガイドのジャックがアイルランド詩人イエーツの詩集を暗唱してくれました。感動した私たちは、ジャックの希望で「君が代」（※アイルランド人作曲）を歌ったり、日本の文化を彼に教えたり和気あいあいとした雰囲気になりました。ジャックは日本語を話さないため、君が代を英訳しなければならず、とても苦労しました（笑）。

イニシュモア島ドン・エンガスにて

アイルランドは国土のほとんどが穏やかな丘陵で、山らしい山があるのは南西部の一部エリアのみです。そのため、最高峰のカラントゥーヒルを含め、第2峰、第3峰も同じ山脈内に位置しています。標高も1,038mと低いため、簡単に登頂できるようなイメージですが、歩行時間10時間、標高差900mとなかなかハードな行程となります。山脈が湖の周りをぐるりと取り囲む馬蹄形で、アイルランドらしからぬ荒々しい岩峰が目の前に現れました。第3峰のカハー（1,001m）まではひたすら登りが続きます。羊が草を食み、ヒースの咲く広い尾根を進みました。カハーからは左側が切れ落ちた稜線を慎重に歩き、全員無事に登頂しました。山頂で出会った地元民たちからは「まさかこんなところで日本人に会うとは思わなかった、なぜスイスやフランスのアルプスではなくここを選んだんだ？」と質問があり、「いい山じゃないか、眼下に広がる緩やかな緑の大地はここでしか見れないよ！」と答えるととてもうれしそうな笑顔で「ありがとう！」と返してきました。

アイルランド最高峰カラントゥーヒル

旅の終盤はダブリンです。アイルランドと言えばギネスビール！工場を訪れ、黒ビールの注ぎ方をアカデミーで学びました。コツは8割注いだ後、数分待ち泡が落ち着いた後、再度泡を注ぐとのこと。皆さんバッチリで、グラスからこぼれそうなギネスビールで乾杯することができました。夕食はアイルランドで高い人気を誇るイタリアレストランへ。生カキ、ロブスター、ミール貝、蛸、イカをふんだんに使った海鮮料理に舌鼓を打ちました。翌日訪れたウィックロー国立公園では、地元ガイドが“ウィックロー富士”と呼ぶ山に登頂しました。僅か30分ほどで登れてしまう山でしたが、一面がヒースとエニシダに覆われ、山頂からは海と緑が広がりとても素敵な山でした。帰国日の朝、時間があったため電車とバスを乗り継ぎダブリンの北東にあるホウスの灯台を訪れました。この旅1番の天気でヒースも咲いており、アイルランドの最後を飾る素敵なミニハイキングとなりました。

ヒース咲くホウスの灯台